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S-Works Tarmac SL8 Artist Collab LTD

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2026年2月18日

by Specialized

クリエイター・ストーリー:アートとライドが響き合うとき


S-Works Tarmac SL8 LTD Artist Series は、世界各地から集まった3人のクリエイターが、それぞれの発想、経験、そして視点を世界最速のレースバイクに込めた特別なコレクションです。彼らは「乗るアーティスト」であり「創造するライダー」。すべてを征す一台を自らのビジョンで解釈し、ライドと日常のどちらにも存在する動きの美しさ、澄んだ感覚、そして心に湧き上がる感情から着想を得て、独自のデザインを描き出しました。 

彼らのストーリーから、それぞれの限定フレームに込められた背景を掘り下げてみましょう。 

Lucas Beaufort | ルーカス・ビューフォート

「夢、つながり、変化。そのすべては行動から始まる。実現できるかどうかは、あなた次第。」

アート、つながり、そして心を開いてこの世界を歩む勇気。 

ルーカス・ビューフォートにとって、サイクリングは世界の捉え方そのものを変えてくれました。クリエイティブなプロジェクトで滞在したニューヨークの大都会や、ノルマンディーからコートダジュールまでの長旅など、どこでもバイクで走ってきた彼。ペダルを回していると、彼の目にはより多くのものが映り込んできます。街の躍動感、人々の動き、そして普段なら背景に埋もれてしまうような細かなディテール。ライドを通してそれらに気づき、受け入れ、そして最終的にはデザインの着想へと昇華していくのです。 

ルーカスは、サイクリングと創造性の間に自然なつながりを感じています。バイクに乗れば頭の中が澄みわたり、ライドの高揚が落ち着いたころ、インスピレーションが静かに訪れるのです。走りながら人と関わることにも喜びを感じていて、相手のペースに合わせ、同じ時間を共有し、共に風景のなかを進むひとときを楽しんでいます。ルーカスにとって、ひとつひとつのライドは世界に描く一本の線。そのリズムが、のちに彼の作品へと姿を変えていきます。 

彼のS-Works Tarmac LTDのデザインは、シンプルなアイデアから始まりました。それは「調和(unity)」。ルーカスは、自身のシグネチャーキャラクターであるGus Gus(ガスガス)を通して、人生とは何か、それは「分かち合い、思いやり、そして人々をつなぐこと」だという彼の信念を表現しています。その想いは、彼のフレームにも反映されています。自身の人生経験やスケートカルチャー、そして決して手放さずにきた夢への想いに根ざしたスタイルで形づくられているのです。自身の野望を非現実的だと言われ続けた幼少期。それでも、ライドと創造がいつも彼を前へと走らせてきました。 

スペシャライズドからArtist Seriesへの参加を依頼されたとき、彼は迷うことなくイエスと返答。頻繁にライドを楽しむ彼にとって、この一台はすでに特別な存在でした。そこで創造性を自由に解き放ち、隠れたレイヤーや静かなシンボルを散りばめたデザインを生み出しました。それは、ライダー自身がそれぞれの感性で解釈できるよう、静かに語りかけてきます。 

そして何より、彼はこのバイクが人々の好奇心を呼び起こす存在になることを望んでいます。もっと知らない場所へ行きたい。もっと近くまで行って確かめたい。もっと人とつながりたい。そして、ほんの少しでも優しさを広めたい。そのすべてを、彼は「希望」と呼びます。好奇心という小さな原動力が、ライドでも、その先の世界でも、私たちをひとつに導いてくれるという希望です。 

路上から生まれるリズム、動き、そして静かな集中。

ユーン・ヒョプにとってサイクリングは、リセットするための手段として始まり、いつしか欠かせない習慣となっていました。スタジオでプレッシャーが高まると、ライドによって本来の自分に立ち返ってきた彼。ニューヨークのプロスペクト公園での早朝ライド、ナイアックまでのロングライド、帰省中にソウルで走るヒルクライムは、心のざわつきを取り払ってくれるのです。ライドは彼に、今の積み重ねを信じること、地に足をつけることを思い出させ、澄んだ心で再び創作へ向かわせてくれます。

バイクに乗ると、思考が消えていきます。そして、道の感触、風のにおい、前進する感覚に包まれてゆくのです。映画のような穏やかさを感じるときもあれば、グループライドで仲間と一緒のリズムを感じるときも。ライドではインスピレーションを追い求めることはありません。しかし、舗装路の色、街灯や影の残像、スピードの移ろいといった光景が、彼の中に刻まれていきます。スタジオに戻り絵筆を動かしていると、それらの感覚が彼の中で蘇ります。

ユーンはライドと創作活動に強い共通点を感じています。どちらも地道な努力と継続、そして次の一歩を信じる姿勢が求められるからです。スタジオではステージレースのように創作する彼。その日に決めた作業をやり切り、翌朝また、新たな工程に取り掛かる。サイクリングが教えてくれた、規律が発展を支えるというマインドセット。それこそが、彼のアートを形作っています。

彼がS-Works Tarmac LTDに施したデザインは、静かで鋭く、街中を密かに駆け抜ける疾走感を表現。明け方、まだ夜の残る空気、行き先を導く街灯の明かりがその原点となりました。そこで感じられるエネルギーを、彼はまず自身の手で色や線、質感として描き出し、ブルックリンのスタジオで妻とのコラボレーションによってさらに洗練させていきました。フレームに散りばめられた隠し要素は、静けさから強さの象徴、そして長年育まれた精神まで、彼のライド人生を反映しています。 

スペシャライズドとの協働は自然な流れでした。SL8はこのコラボが生まれるはるか前から、彼がカスタマイズしたいと思っていたバイクだからです。リズムと方向性が重なり、Tarmacの中で彼の躍動するデザインとそのスピードが融合する。これは彼だけの感覚でしょう。彼がライダーに感じてもらいたいことは、エネルギーです。バイクと共に出かけたい、フローを感じたい、決めた目的地まで行きたい、そして何よりも安全にライドしたい。このコラボレーションを彼の一言で表すなら、「シナジー(共鳴)」。ライダーとバイクが一つになるあの感覚です。

スピード、明瞭さ、その瞬間に没入したときの澄みきった高揚。 

パラにとってサイクリングは、ほとんど触れたことのなかった世界への扉を開いてくれた存在でした。ライドを始めるまで、自宅やスタジオに籠もりがちで、行動範囲も狭かったと振り返ります。これを180度変えたのが最初のロードバイク。遠くへ行かずとも、すぐにその楽しさにすっかり魅了されました。ライドは、彼の小さな宇宙から抜け出し、もっと多くを見て、意図をもって前へ進むための手段になりました。スピードを伴う自由が、彼を今でも惹きつけています。

パラがバイクに乗ると、頭の中は静かになります。そこにあるのは自分とマシンだけ。脚の動き、人や車の往来、ペースに集中し、考えすぎる余地はありません。インスピレーションは、走り終えたあとの高揚感と共に訪れます。その澄んだ感覚は、彼の描き方に表れています。ゾーンに没入し、雑音を消し去り、リズムに身を委ねて手を動かす。ハイペースのライドも同じように彼の乱れた心を整えてリセットします。よりシャープな気持ちでスタジオへと戻ることができるのです。

彼はS-Works Tarmac LTDのデザインも、創作に向き合うときと同じ 誠実さを込めました。手描きの曲線的なグラフィックは長年の制作で培われたオリジナリティーを放ち、一目で彼の作品だとわかります。タイポグラフィーや洗練したロゴは、注意深く見たときに初めて見つかるよう、さりげなく潜ませています。目指したのは、自身がすでに乗り、愛しているSL8にふさわしいものを生み出すことでした。

スペシャライズドとのコラボレーションは自然な流れでした。ぺロトンでヴィンチェンツォ・ニバリ、ペテル・サガン、マーク・カベンディッシュ、レムコ・エヴェネプールが乗るTarmacは、彼のお気に入りバイクだったからです。Artist Seriesへの参加を打診されたとき、答えはすぐに決まりました。Tarmacのオーナーとして、このプロジェクトはすでにバイクと築いた関係の延長線上にあると感じられたのです。

パラがライダーに期待するのは、バイクに飛び乗り、スピードを追い求めるというワクワク。このコラボレーションを一言で表すなら、「ナチュラル(必然)」。サイクリングカルチャーは長年彼を刺激し続けてきました。このデザインは、彼がすでに深く愛してきた世界の延長線上にあるのです。