Hero Banner Image

LEVO SL × 源流

山の奥に渓流の宝石を求めて

Icon

2025年11月27日

by Specialized

E-MTB「Levo SL」が切り拓く新しいアウトドア体験

標高1000mの源流域へ、仲間とともに秘境を目指す釣り旅。
険しい林道や長い登坂も、Turbo Levo SL(以下Levo SL)の軽量設計とパワフルなアシスト機能が快適な走りを実現します。

荷物を積んでも安定した走行性能、フルサスペンションによる安心感、そしてタフなトレイルでの圧倒的な機動力。釣りとライドを融合させた贅沢な時間を、Levo SLが可能にしました。

Hero Banner Image
Hero Banner Image
Hero Banner Image

「山奥の渓流に行こうよ。山小屋に泊まって、釣りができるらしいよ」  
 
三重在住のフォト・ビデオグラファー岩崎竜太は僕の釣り仲間である。普段は大海に船で出て釣りを楽しんでいる人だが、そんな彼から渓流釣りのお誘いを受けたことは意外だった。それもだいぶ山奥のようだ。しかし、彼が普段好きでよく撮っているものがマウンテンバイクであることを思い出して合点がいった。彼は海の男であり、山の男なのだった。   
 
林道の車止めまで行ってからは、MTBに乗り換えてさらに山奥へと進み、ほとんど釣り人の入らない秘境で夢のような釣りができる。そこには人にスレていない渓流魚がごまんといる、というのが彼の趣旨だった。

『自転車で釣りに行く』。誰もが少年時代に経験したであろうこの遊びを、大人になった今、むしろ大人になってから夢中で取り組んでいる。海沿いを走ってはアジやイカ、スズキを釣り、用水路ではナマズを狙う。もちろん、春に解禁となってからは渓流釣りも自転車で楽しんでいるのだが、それはグラベルバイクで行ける範囲に限られる。多少の未舗装路は臆せずに行くが、たくさん登らないといけない山岳渓流といったロケーションでは機動性に乏しい。

 

今回行くのは、標高1000m。ほとんど源流域だという。豊かな海は豊かな山が育むとよく言われるが、紀伊山地に発し豊穣な熊野灘に注ぐその最初の流れ、無数の細流が今回の釣り場となる。

 

この面白そうな話にはやはり釣り仲間であり、自転車も釣り道具にしてしまうフォトグラファーの辻啓ものってきた。最近は渓流釣りにハマっているらしく、ヨーロッパでも清流にトラウトを追いかけているというから相当な熱の入りようだ。

狙う魚は、アマゴ。渓流の女王と呼ばれるヤマメに酷似した魚だが、体表に朱点が散りばめられるところに最大の特徴がある。いずれも美しい魚で、川の上流の冷水域にしか生息しないことと警戒心が強いこともあって、なかなか普段お目にかかることが難しい魚でもある。だからこそ釣り人は燃え、工夫を凝らしその一匹に辿り着こうと腐心する。

 

アマゴが手の届きにくい上流域に棲んでいるのなら、こちらからその住処へ赴いていけばいい。クルマでは入れず、徒歩では時間がかかりすぎるその源流へのアプローチに最も適しているものが、MTBだというわけだ。それもE-MTBである。

 

スペシャライズド Levo SL Comp Alloyは、語弊を恐れずに言えば最高のトレッキングアイテムであり、釣り道具であった。

車止めまでの道のりはすでに、四駆のクルマを上下に大きく揺らすタフな砂利道だった。車止めでLevo SLを降ろし、支度を整える。今回は山小屋に一泊してのライド&フィッシュだから、釣り道具だけじゃなく寝泊まりの用品なども積み込まないといけない。


通常のMTBやグラベルバイクでは重量増が気になるところだが、その点Eバイクなら必要なものをちゃんと持っていける。ライドの安全性という意味でも荷物を気兼ねなく持っていけることは重要だ。熊鈴だけでなく、熊スプレーも持っていけたほうが絶対によい。

さて、外はしとしとと雨が降っている。これはある程度想定済みのこと。なんといっても、紀伊山地は日本でも有数の多雨地域だ。晴れている方が少ないと言ってもいい。走り始めで標高はすでに800mを越えているが、ここからは10km以上尾根道のアップダウンを繰り返しながらさらに標高を稼ぐことになる。

まず初めに大きな下りがやってきた。砂利道の下り。荷物を積んだグラベルバイクならパンクを気にしてゆっくりと下るところだが今日はその必要はない。エアボリュームたっぷりのタイヤとフルサスペンション、ドロッパーポストのおかげで何も気にせず、何も考えなくても安心感をもって下っていける。快適なその下りがあまりに楽しく、釣りに来たことをしばし忘れる。砂利のコーナーのどこが正しいラインなのか、目まぐるしく左右にバイクを振りながらすっかり楽しんでしまった。

 

下りがあれば登りがやってくるのは尾根道の常。しかし今日はなんていい日だろう! すかさずアシストをオンにすると、眼の前に立ちはだかる上り坂はたちまちに快走路となる。まだ走り始めだから消費電力の少ないECOモードにしたけれど、試しにTURBOモードに切り替えたら後ろから誰かに押されているようにぐんぐんと加速していった。ほとんどペダルに力を入れていないのに。

荷物を積んでこれだけ楽に走れるとなると、何にもネガがない。砂利の登り坂はいいおしゃべりの場所となる。時折現れる細い流れに足を止めて、釣りができそうか吟味する。

 

「この溜まりには魚がいそうだね」

「でもちょっと細すぎるかも」

「山岳地図ではこの先にもう少し大きな流れがありそうだよ」

 

そうやって、距離と標高を重ねていくと少し幅のある川に出た。水量も十分。うん、釣れそうだ。

 

いそいそと釣り支度を整える。ウェーダーを履き、釣り竿を組み立て、ルアーをセットする。初めての釣り場を前にワクワクが高まり、自転車で走ってきた疲れなどもう忘れている。いや、今日はほとんど疲れてもいないのだった。Levo SLのおかげだ。

川べりに近づくと、ぴゅーっと魚が上流に逃げていくのが見えた。いる。あのスピードはアマゴだろう。すこし上流へとルアーを投げ込むと、魚が追いかけてきた。どきどきしながらもう一投。いいところにルアーが入った……と思っていると、ヒット!

 

ネットに収まったのは小ぶりだが綺麗なアマゴだった。標高1000m、地面よりも空のほうが近いんじゃないかと錯覚するような川から顔を出してくれた渓流の宝石。しばし見とれてしまう。

この川で数匹の釣果を得て、山小屋へと向かう。その途中に、また雰囲気のよい川があったので当然のように自転車を降りて釣りをする。とても山奥にあるとは思えないほど水量も豊富で、雨がこれだけ降り続いているのにほとんど濁りもない。源流域ならではというところだが、これは保水力のある山があるからに他ならない。豊かな海を育む山は、その始まりから清浄なのだった。

見るからに釣れそうだね、などと話していたらやっぱり釣れた。3人で交代しながら釣り上がっていく。誰かが釣れたらそれをみんなで喜び、誰かがバラしたらみんなで嬌声を上げる。ゆっくり川を遡行した2時間ほどで、僕たちはまた釣り仲間の絆を深めたような気がした。

MTBに乗って釣りをして。短くも濃い時間を過ごし、夕方前に山小屋にチェックインした。3人でぎゅうぎゅう詰めで小さな風呂に入り、雨に濡れた身体を温める。話題は今日釣れた魚のこと、そしてLevo SLで走る楽しさ。

山小屋の夕食は早い。18時にいただきますをして、僕らは変わらず釣りと自転車の話を続けていた。スマートフォンが圏外を示す山中だったせいか、山小屋での時間はゆっくりと過ぎていき、いまだ外で振り続ける雨がトタン屋根を叩く音も心地よく響いていた。1日中遊び尽くした僕らは、部屋に戻って布団に入ると意識を失った。まだ時計の針は19時台だったと思う。何もかもが贅沢な時間。

 

翌日も来た道を戻りつつライドと釣りを楽しんだ。車止めまでやってくると、急に現実に帰った気持ちになる。人里離れた楽しい時間はこれで終わった。

 

また来週来よう、とはなかなか言えないロケーションだけれど、また来年には来よう。その時は、もちろん、Levo SLと一緒に。